ダイエットスクール

Lesson1 ダイエットの基礎知識

そもそもダイエットって何?

皆さんはダイエット=「体重を減らす」ことと考えていませんか?しかし医学的には「体から脂肪を落として体重を減らす」ことが本当のダイエット。見た目の数字にばかりこだわると、健康的にスリムな体を維持することはできません。まずは体重の増減に関わる、水分・筋肉・脂肪について正しい知識を身につけて。

  • 水分 運動やサウナ、エステの施術で大量に発汗した後、体重が減ってビックリ!という経験、ありませんか?しかし、安易に喜ぶのは考えもの。体重が減ったのはあくまでも一時的な現象。汗によって体内の水分が排出され、脱水状態になっているだけなのです。水分が体外に排出されると、人間の体は本能的に水を欲します。結果、足りない水分を飲料や食事で補うため、数日後には体重も元通りに。
  • 筋肉 筋肉は体脂肪を燃焼するいわば焼却炉。“ 食べないダイエット”により、筋肉の元となる栄養素を摂取できないと、筋肉量はどんどん減少。結果、体脂肪の燃焼率も低下してしまい、逆に体脂肪がつきやすい体質になってしまいます。「やせやすい体作り」もダイエットの目的のひとつ。ダイエット中は筋肉量を落とさないように、食事制限をしながら筋肉トレーニングを行うことが望ましいのです。
  • 脂肪 食べすぎや運動不足により余ったエネルギーは、脂肪として体に蓄積。脂肪は人間のエネルギー源でもありますが、余分は肥満や体調不良のもと。肥満の目安となる体脂肪率は男性が25%、女性が30%以上。
1kgの体脂肪を落とすには、なんと約7,200kcal のカロリー消費が必要なのです。
摂取カロリー<消費カロリーだとやせます

食べ物によって摂取されたカロリーは、日常の身体活動などにより消費されます。つまりダイエット成功の秘訣は摂取と消費のカロリーバランス。適度な食事制限で余分なカロリー摂取を押さえ、運動で消費量をアップすれば、体脂肪を落としながらの減量が可能なのです。

  • 摂取カロリー<消費カロリーだと体重は減ります
  • 摂取カロリー=消費カロリーだと今の体重を維持できます
  • 摂取カロリー>消費カロリーだと体重は増えます
あなたは肥満?標準?やせすぎ?

いざダイエットを実行するとき、目標設定の目安にしたいのが体脂肪率やBMI。家庭用の体脂肪計は正確な数値が出にくいのですが、参考にはなるのでぜひ活用を。また体格指数を表すBMIや標準体重の計算式も、具体的な数値が出るのでヤル気を後押ししてくれます。

◎BMI(Body Mass Index)を算出してみましょう

BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)

◎次に、標準体重は...

標準体重=身長(m)×身長(m)×22 (標準的なBMI値)

BMI が22 とは、日本肥満学会が定めた標準的な値です。 
身長158cm ならば1.58×1.58×22=54.2kg が標準体重になります。

BMIの判定基準 
BMI 判定
18.5未満 やせ 
18.5以上 25未満 普通 
25以上 肥満 
30以上 高度肥満EXAMPLE 
身長158cm で体重63kg の場合、63÷1.58÷1.58=25.24 になり、左図の判定基準で「肥満」に該当します。

COLUMN | 本当にダイエットする必要ありますか? 
テレビや雑誌で活躍するモデルや女優。「私も彼女たちみたいになりたい!」という気持ちも分かりますが、ちょっと待って! 人にはそれぞれ適正な体格があり、必要以上の減量でやせすぎるのはかえって不健康。体に必要な栄養素はしっかり摂り、健康的で美しい体をキープしましょう。また、肥満に該当するのはBMI が25 以上の人。まずは現体重の−5%の減量で体脂肪を落とすことを目標にして。これだけで生活習慣病にかかるリスクがグンと下がります。 

蛯原友里 身長169cm 体重48kg BMI16.8 
押切もえ 身長169cm 体重45kg BMI15.8 
篠原涼子 身長162cm 体重45kg BMI17.1 
松嶋菜々子 身長172cm 体重50kg BMI16.9 
敬称略、身長と体重の数値はWikipediaに基づく

あなたの消費カロリー量はどうやって計算する?

消費カロリーとは基礎代謝、生活活動代謝、食事誘導性代謝という身体活動によって消費されるエネルギー量です。自分が1日に消費するカロリー量を知ることは、ダイエット計画を立てるうえでの重要なポイント。食事で摂るべきカロリー量や運動量の目安になりますよ。

基礎代謝+生活活動代謝+食事誘導性熱代謝=消費カロリー

基礎代謝

基礎代謝とは、呼吸や体温調節などで代謝される、生きていくために必要な最小限のカロリーのこと。人間が1日に消費するカロリーのうち、60 〜 70%を占めます。基礎代謝は筋肉量の比率が高いと高く、脂肪の比率が高いと低くなるため、やせやすい体作りに筋肉は不可欠。また、代謝量は10 代半ばにピークを迎え、加齢とともに低下。遺伝的要素による個人差もあります。◎基礎代謝量のグラフ

COLUMN | 中年になると肥りやすくなるって本当? 
残念ながら本当です。主な原因は10 代半ばを境に基礎代謝が低下するため。人間の体は年齢が上がるにつれて、少ないカロリーでも体を維持できる仕組みになっているので、若かりし頃と同じように食べ続けると、太ってしまう可能性が高くなります。ちなみに10 代後半と50 代後半の基礎代謝量を比較すると、男性で約190kcal、女性で約170kcal の差が。これはごはん茶わん約1杯に相当します。

生活活動代謝

生活活動代謝とは、日常の仕事や家事、運動など、体を動かすことで消費するカロリーのこと。1日に消費するカロリーの20 〜 30%を占め、スポーツ選手や肉体労働をする人は代謝量が高く、デスクワーク中心の職業の人は低めとなります。仕事上、身体活動レベルが低い人でも、普段から積極的に体を動かす、定期的に運動することで、代謝量を上げることが可能です。◎身体活動レベル 
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2005 年)」では生活活動代謝のレベルを以下の3 段階に分けています。現代日本人のかなりの方が「低い(T)」に該当すると言われています。 

身体活動レベル 低い(T) 身体活動強度 1.5 日常生活の内容 生活の大部分が座位で、静的な活動が中心の場合 
身体活動レベル ふつう(TT) 身体活動強度 1.75 日常生活の内容 座位中心の仕事だが、職場内での移動や立位での作業・接客等、あるいは通勤・買物・家事、軽いスポーツ等のいずれかを含む場合 
身体活動レベル 高い(TTT) 身体活動強度 2 日常生活の内容 移動や立位の多い仕事への従事者。あるいは、スポーツなど余暇における活発な運動習慣をもっている場合

食事誘導性熱代謝

食事誘発性熱代謝とは、食べる行為そのものによって体内に熱を発生させ、カロリーを消費すること。1 日に消費するカロリーの10%を占めています。

◎今までの情報をもとに、1日の消費エネルギーを求めてみましょう。 
基礎代謝量(kcal)×身体活動強度=1日の消費カロリー 

EXAMPLE 
20 代女性で、1 日の大部分がデスクワークですごし、特段スポーツをしていない場合 
20代の平均的な体重の女性の基礎代謝 1,180kcal×身体活動レベル「低い(T)」の身体活動強度1.5=1,770kcal 
この女性が… 
1,770kcal 以上の食事を摂取すると太ります。 
1,770kcal だと今の体重を維持出来ます。 
1,770kcal 以下だと体重が減ります。

ダイエットの停滞期とリバウンドについて

順調に体重が減っていたのに、ある時期から急に体重の変化が停滞……。「もうこれ以上やせられないの?」とあきらめないで。実はこれ、ダイエットをしているときは誰にでも起こる現象なのです。焦らず、気長に、今までどおりの食事制限や運動を続けることが大切です。

停滞期の理由は? 
ダイエットをはじめて摂取カロリーが減ると、人間の体は「栄養が不足している」と認識。少ないエネルギーで体重を維持しようと、省エネモードになります。つまり基礎代謝が落ちて消費されるカロリーが減るため、結果、体重の減少が停滞するのです。停滞期は目標体重に到達するまで何度か訪れますが、ここで踏ん張ると省エネモードが解消し、体重は再び下がり始めます。逆にここであきらめて元の食事量に戻すと、リバウンドしやすいので注意しましょう。

どんどん体重がダウン 
減量期 
適度な食事制限による摂取カロリーの低下や運動の効果で、順調に体重が落ちていきます。結果が目に見えてわかるのでヤル気もUP!リバウンドに気をつけて! 
停滞期 
少ない摂取カロリーでも活動できるように、体が調節している時期。省エネ体質になっているので、暴飲暴食はリバウンドの原因に。省エネモード脱出! 
維持期 
体が食事制限に慣れ、省エネモードから脱出。目標体重を達成しても急にダイエット以前の生活に戻さず、体重を維持できるよう心がけて。

太るのは遺伝のせいなの?

「両親も太っているからやせられない」と、あきらめている人はいませんか?いえいえ、必ずしもそうとは言えないのです。実は一般的な肥満は、遺伝子や環境などさまざまな要因が関与しています。まずは自分や家族の生活習慣を見直し、食事や運動習慣の改善を心がけて。

◎肥満の要因 
一般的に肥満に関与するのは遺伝が25 %、環境が75 %といわれています。ひとつの遺伝子異常で肥満が起こるのは、肥満全体の0.1%とか。両親が太っていてもまずは生活習慣の見直しが大切です。

メタボリックシンドロームって何?

最近よく耳にするメタボリックシンドロームとは、肥満に加え、生活習慣病(高脂血症・高血圧・糖尿病)のうちどれか2つにかかっている、もしくはなりかけている状態を指します。ひとつひとつは軽症でも、2つ重なると心臓病などの危険率が10 倍、すべて重なれば約30 倍以上のリスクに!

◎メタボリックシンドロームの具体的な診断基準

(1)ウェストが男性85cm 以上、女性90cm 以上 
(2)中性脂肪150 以上またはHDL(善玉)コレステロール40 未満 
(3)血圧130/85 以上 
(4)血糖110 以上 

(1)に加え、(2)〜(4)のうち2 項目以上当てはまる人はメタボと診断されます。

◎健康診断でお医者さんにこんなことを言われたら…

(1)少し肥満気味です。食事の量を減らしたり、運動をしたりして少しやせて下さい
(2)ちょっと血糖が高いけど、食事の量を減らしたり、運動したりして少しやせて下さい
(3)ちょっと中性脂肪が高いので、食事量を減らしたり、運動したりしてやせて下さい
(4)ちょっと血圧が高いけど、まずは塩っ辛いものを控えるなど食生活を改善して下さい

お医者さんに上のような指摘をされたら要注意。これは脅しではなく、「食事や運動で現在の状態が改善しなければ、薬による治療を開始しますよ」という警告なのです。メタボリックシンドロームは痛い、辛いなどの症状が薄いので危険性を自覚しにくいのですが、「オレ、メタボだから!」と笑い話にしている場合ではありません。健康診断の数値をキチンと確認し、体環境の改善を心がけましょう。