ダイエットスクール

Lesson3 悪魔のささやき

ここでは、ダイエットに励む皆さんを誘惑する、さまざまな偽りを紹介・検証します。すでにダイエットの科学的な知識をマスターしたあなたは、もうだまされたり、心躍らされることはないはず。それでも悪魔の誘惑に心が揺れたときは、ぜひ、目をとおしてください。

楽に部分やせできるよ
大量の汗をかいたら体重が減りサイズもダウン!? 

顔や腹部をラッピングして発汗を促す方法は、水分排出による一時的なサイズダウンにすぎません。体脂肪を燃焼した結果ではないので、結局、数日後には元どおりに。
マッサージでウエストやせ! 
効果もあるし楽かも…… 

マッサージによるウエストや脚のサイズがダウンは、圧力によってむくみの解消や体の組織が一時的にへこむことが理由。脂肪は分解されないの時間がたてば元どおり。
おなか周りの脂肪を落とすなら腹筋運動だけで大丈夫!

確かに腹筋運動は腹部の筋力アップや引き締め効果があります。筋力トレーニングはダイエット中も筋肉量を維持、または増やせるため、基礎代謝のアップに効果的。結果、安静時もエネルギー の消費量が大きくなり、ダイエットに役立ちます。ただし、「腹筋運動=腹部周囲の体脂肪を落とせる」という認識は誤解。体脂肪は運動した部分だけが落ちるのではなく、全体的に少しづつ減っていくもの。ウエストを細くしたい、顔を小さくしたいという気持ちはわかりますが、食事制限や日常での運動量を増やすことなく部分的な筋トレに終始しても、期待するほどの効果は出ません。やはり体全体にアプローチするプログラムをあわせて続けることが大切。部分的にやせるのは体全体がやせた結果、なのです。

おから入りクッキーで楽にやせるよ

りんご、納豆、キャベツ、ゆで卵……。いつの時代も単品ダイエットは大流行。特定のものを集中的に食べてやせる方法は、わかりやすく手軽なので、受け入れやすいのもわかります。しかし、甘〜い誘惑の裏には危険な落とし穴が。その問題点について考えましょう。

  • 問題点1 極端なカロリー制限で体調の悪化を招く危険性が…… 

単品ダイエットは、一日の摂取カロリーが極端に低くなる恐れがあります。これらの方法は暗に1日1,000kcal以下の摂取を薦めることがあり、「生きるうえで必要な」基礎代謝で消費するカロリー量さえ下回ります。結果、めまい、肌荒れ、精神疾患などさまざまな症状を抱えるリスクがあり、非常に危険です。
  • 問題点2 三大栄養素のバランスを崩し不健康な体の原因に! 

単品ダイエットでは、人間の三大栄養素、たんぱく質、脂質、炭水化物の必要量を補えない危険性があります。これらは皮膚や筋肉、内臓、髪や爪を構成す細胞に必要な栄養。不足すれば体が衰弱し、病気への抵抗力も低下。肌や髪も張りがなくなり、見た目も不健康に……。特にカロリーの高い脂質は敬遠されますが、食事でしか摂取できない必須脂肪酸を補うためにも必要なのです。 

必須脂肪酸ってなに? 
体の機能を調整する肉・魚介類・卵・乳製品、または植物油に含まれる物質。体内で作り出せできない、もしくは量が限られているため、食事から摂取する必要があります。
  • 問題点3 一生は続けられないためリバウンドするリスクが大 

単品ダイエットは、リバウンドするリスクも高くなります。極端に摂取カロリーを控えるため、適度な食事制限を実行したとき以上に、基礎代謝は低下。結果、非常に燃費の悪い体質に変化します。特に停滞期やダイエット成功後に気がゆるんだときは危険。通常の食事に変えたとたん、高カロリーを摂取したと体が認識してしまい、エネルギーを体脂肪として積極的に蓄えてしまうのです。
ご飯を食べないであっという間にやせるよ

アトキンスダイエット、低インスリンダイエット、ゾーンダイエットなど、さまざまな呼び名で紹介されてきた「低炭水化物ダイエット」。ハリウッドセレブも実践する方法としてメディアで紹介されていますが、医学的には確たる効果は立証されず、疑問を抱く声も……

日本では… 
日本では医学的見地から、低炭水化物ダイエットが有効となるデータはほとんどありません。1 日に摂取する栄養素のうち、炭水化物を占める割合は、日本肥満学会で55%、日本糖尿病学会でも55〜 60%を推奨。ダイエットが必要な肥
満患者を診る学会でさえ、低炭水化物を薦めていないのです。 

推奨される炭水化物の摂取比率 

日本肥満学会 
炭水化物…55% 
たんぱく質…20% 
脂質…25% 

日本糖尿病学会 
炭水化物…55〜60%
海外では… 
海外では一部の論文で、低脂肪食と比べると6カ月以内であれば減量効果が強いが、1年後の効果は同様であるなど、短期間での効果が発表されているに過ぎません。またオーストラリアでは4%と46%の炭水化物食を被験者が摂取したところ、6カ月後も体重差はなかったという発表も。 

同カロリーでの栄養摂取率 
低炭水化物食 高炭水化物食 
同様なカロリーで6ヶ月後体重差なし
炭水化物にこだわらず摂取カロリー全体に意識を

このように世界の医学界では、低炭水化物ダイエットが効果的という考えは主流ではありません。ご飯は脳を働かせる栄養のもと。極端に控えると仕事や勉強の能率も下がります。炭水化物の比率にばかりこだわらず、まずは食事全体のバランスや摂取カロリーを下げることが大切です。

ジェルを塗るだけでやせるよ

何とも魅力的な言葉ですが、皮膚の表面から吸収され、皮下組織にある脂肪組織を燃やして体重を減らすジェルやクリームは存在しません。減量の効果があったとしても、汗などで一時的に体外へ水分を排出しただけ。実際には脂肪を燃やしているわけではないのです。

「部分やせ」の代表選手、ウエストベルトも同じこと。 

電気刺激を与えてウエストが引き締まるベルトも効果は同様です。低周波電流を流して脂肪を燃やすという触れ込みですが、一時的に筋肉を引き締める、または発汗による脱水効果が感じられる程度。体脂肪を燃やすとしても極めて限定的なので、すぐに元に戻ります。
食事制限も運動もいらない方法は実に魅力的。しかし、塗るだけ、ベルトを巻くだけでやせるのであれば、糖尿病や肥満に悩む患者さんに対し、すでに医師が使用しているはず。両者とも、少なくとも医学的にはまったく実証されていない方法と思ってください。
9日間で4キロやせるよ

よく広告で見かける言葉ですが本当でしょうか?本当のダイエット=体脂肪を減らすこと。
1kg の体脂肪を減らすには7,200kcal 必要です。9日間、1日1,500kcal の食事を絶っても−13,500kcal。体脂肪に換算すると−1.88kgです。悪魔のささやきであるのは明らか、ですよね。

もし9 日間絶食したら、どれくらい体脂肪を減らせる? 
1日あたり食べる食事量 1,500 kcal 
−1,500kcal ×9日間 = −13,500kcal 
体脂肪−1kgのためには 7,200kcalの消費が必要 
−13,500kcal ÷ 7,200kcal  =  −1,88kg 
以上から、9 日間絶食する荒修行をしても4kg の体脂肪を減らすことは不可能!